カジノ法案が可決され、日本でもカジノが設立する動きが加速しています。
国内でもいくつかの都市が誘致を表明しており、いよいよ具体像が浮かび上がってきました。
この記事では、カジノ誘致を表明している場所について紹介し、それぞれの特徴について詳しく説明していこうと思います。


候補地をわかってる限りまとめてみたぜ。
カジノの場所候補は?
2019年11月、カジノ誘致の動きを見せ、候補地とされているのは以下の自治体です。
- 留寿都(北海道)
- 苫小牧(北海道)
- 台場(東京)
- 横浜(神奈川)
- 幕張(千葉)
- 常滑(愛知)
- 名古屋(愛知)
- 夢洲(大阪)
- マリーナシティ(和歌山)
- ハウステンボス(長崎)
以上10都市です。しかし、まだ誘致の動きを見せているのみで、正式にカジノ設立地として決まったわけではありません。
また、2022年現在では撤退した候補地も現れ始めました。
- 横浜(神奈川)
- 幕張(千葉)
- マリーナシティ(和歌山)
全ての都市がカジノ誘致に成功するわけではなく、日本国内に最大3カ所のIRが誕生する事となったため絞り込み作業が行われていくことになります。
参考:東洋経済オンライン
正式決定は、まだまだ時間がかかるとされ、議論を深めたうえで2022年頃、そしてカジノを含む統合型リゾートの建設には長い時間を要するため、実際の開業は2025年頃になるのではないかと考えられています。
それでは、各候補地それぞれの特徴について、詳しく紹介していきたいと思います。
※追記
北海道がカジノ誘致の申請を見送ることを決定したようです。
留寿都(北海道)
留寿都村は北海道西部に位置する大自然に恵まれた村です。村自体はまさに「田舎」という感じで、とてもカジノが設立されるイメージを持てるものではありません。
しかし、道内の経済中心地である札幌市までは、車でおよそ90分程度で移動できること、そしてニセコや羊蹄山、洞爺湖、支笏湖までも移動がしやすく、いわゆる「観光クラスター地域」として、旅行客を中心に大きな人気を博しているエリアです。

特に、通年型リゾート地として名高い「ルスツリゾート」は、毎年150万人以上もの旅行客が訪れています。
観光地として人気の留寿都村は、平成26年7月に「特定複合観光施設の誘致に関する要望」決議を提出してから、その動きを活発化させています。
カジノ誘致に関する是非について、地元北海道新聞の世論調査では、以下のような結果が出ています。
- 2019年2月調査:賛成派32%, 反対派66%
- 2019年3月調査:賛成派40%, 反対派55%
- 2019年6月調査:賛成派26%, 反対派72%
徐々に反対派が増えているというところが気になりますね。
留寿都村最大の強みは、何と言っても広大な土地があることです。カジノを含む統合型リゾートの建設には、大規模な土地開発が不可欠となります。
都市部の場合、その土地を確保するのは容易でないだけに、多くの土地を提供できる留寿都村は強みを持っていると言えるでしょう。
苫小牧(北海道)
苫小牧は、フェリーが発着する港があり、本州から北海道への船旅に際して必ず通ることになる拠点です。
そのため、苫小牧市自体には用がなくても、足を運ぶ人の数は多くあります。
広大な北海道において、人口規模も大きく、札幌市、旭川市、函館市に次ぐ4番目の人口密集地となっています。

苫小牧市のカジノ誘致については、割と動きが活発となっており、
5月23日
米娯楽企業大手ハードロック・インターナショナルのジェームズ・アレン会長は、北海道苫小牧市で開業を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)に、50億ドル(約5500億円)を投じる意向を明らかにした
引用元:時事ドットコム
アレン会長は、この投資によって
- 50億ドルの経済効果
- 4000人の直接雇用を含む1万人超の雇用創出
といった経済効果があることをアピールしています。
住民も比較的好意的な反応を見せているとされており、10月28日の臨時市議会において、カジノを含む統合型リゾートを誘致する決議案を賛成多数で可決しました。
元々の人口規模に加え、本州からも多くの観光客が訪れているという利便性の良さがメリットで、苫小牧市にカジノが設立された場合、大きな経済効果を期待できます。
台場(東京)
フジテレビ本社がある台場が、カジノ候補地として名乗りを上げています。
言わずもがな、台場にはアクセスしやすい住民の人口が何千万人といて、また羽田空港や成田空港、そして東京駅などからのアクセスも容易。
利便性という観点では群を抜いており、東京の経済をさらに過熱することになると期待されます。

統合型リゾートの開発は、長い目で見て利益を回収できるか否かというところが大きな焦点となります。
それを踏まえると、やはり他の地方都市に比べて、東京台場に一日の長があるのは確か。
ちなみに、お台場には既にカジノを疑似体験できる「カジノヴィーナス」というアミューズメント施設があり、カジノの遊び方やルールを教わることができます。
既にある程度カジノの集客力や営業ノウハウは得ているものと考えられるので、有利に運ぶ点になるでしょう。
現東京都知事の小池百合子氏は、カジノ誘致について「メリット、デメリットの両面があり、総合的に検討する」と慎重な姿勢を見せています。
参考:産経新聞
しかし、これはおそらく表面的。2020年の都知事選をにらみ、自身の立場を明確にしすぎないことで、不用意に票を失わないようにするという意図があるのでしょう。
しかし、その後はさらなる首都圏の経済活性化のため、カジノ誘致に舵を切っていくものであると考えられます。
横浜(神奈川)
神奈川県の県庁所在地・横浜では、カジノをめぐる議論が活発化しています。
大きな集客を見込める横浜には、アメリカのラスベガス・サンズやウィン・リゾーツ、香港のメルコ&リゾーツの3社がすでに進出を表明しています。

メルコ&リゾーツは、2019年に横浜のJ1クラブ「横浜Fマリノス」のスポンサーを務めるなど、積極的な動きを見せています。TVK(テレビ神奈川)では、横浜Fマリノスの選手を活用したCMも放映。
全立候補地の中でも、かなり活発な動きがあるのが横浜です。
林文子市長も、IR誘致について
「これまでにない経済的、社会的効果が確認された。横浜の将来のためにIRを実現する必要があると総合的に判断した」
引用元:産経新聞
と答弁。根強い否定派がいることにも勘案して、
「IR整備法やギャンブル依存症対策推進基本計画により、治安やギャンブル依存症対策に取り組む環境が整ってきた。今後、国から示される基本計画に従い、具体的な対策を進める」
引用元:産経新聞
とも述べています。
事業者としても、横浜という立地は大きな魅力。IR設立の実現可能性は、かなり高いと見て間違いないでしょう。
幕張(千葉)
千葉県幕張市には、幕張メッセやZOZOマリンスタジアムなどの施設があり、一年間を通して、多くの人が足を運んできます。
海外との拠点である成田空港や羽田空港、さらに東京都心からのアクセスも非常に良好で、カジノを設立した時、多くの集客を見込める場所です。

また、幕張市は観光庁によりグローバルMICE強化都市に認定されています。
MICEとは、以下の頭文字からなる造語です。
- M:Meeting(会議・研修)
- I:Incentive(招待旅行)
- C:Conference(国際会議・学術会議)
- E:Exhibition(展示)
グローバルMICE強化都市については、観光庁のHPにて、以下のように定義されています。
国際的なMICE誘致競争が激化する中、海外競合国・都市との厳しい誘致競争に打ち勝ち、我が国のMICE誘致競争を牽引することができる実力ある都市を育成するため、2013年(平成25年)6月「グローバルMICE戦略・強化都市」を7都市選定し、MICE誘致力向上のための支援事業を実施してきました。
引用元:観光庁HP
つまり、幕張市は国(観光庁)をあげて、その都市力を強化しようとしているところなのです。
幕張市の試算によれば、カジノの誘致に成功した場合、最低でも1500億円程度、最高で5000億円に迫る経済効果が期待できるとされています。
幕張にカジノを設立する場合、東京湾上に人口浮島(メガフロート)を建設するという計画も出てきており、その場合、さらなる雇用創出によって、大きな経済効果が出ることも期待されています。
常滑(愛知)
常滑市は知多半島西岸の中央部に位置する市で、中部地方と海外の拠点となる中部国際空港(セントレア)が所在しています。
常滑市自体の人口は53000人ほどと、それほど大きな都市ではありません。

しかし、中部地方の経済の中心地である名古屋までは電車で1本(40分程度)であること、そして中部国際空港があるといった事情から、非常に利便性が高く、そのメリットを生かして、カジノ誘致の立候補を表明しているのです。
2019年8月30日には、中部国際空港島内に愛知県国際展示場が設立。さらに観光地としての魅力を高めるべく、同土地にカジノを設立する方向で、予算も算定されています。
現状候補として挙がっている場所の中では、空港からのアクセスが最も良いのが常滑です。
もし、カジノ設立が決定すれば、外国人観光客はこぞって訪れることになるかもしれません。
名古屋(愛知)
名古屋は言わずと知れた愛知県の県庁所在地。中部地方では最も多くの人口を抱え、経済の中心地として重大な地位を担っています。

中部地方で最も人が集まる名古屋駅からのアクセスが良好なことはもちろん、中部国際空港(セントレア)とも電車1本で繋がっており、外国人観光客の集客も十分に期待できる立地です。
名古屋市の河村たかし市長は17日、カジノを含む統合型リゾート(IR)について名古屋への誘致に前向きな姿勢を示した。国会で審議中のIR実施法案について河村市長は「成立すれば(誘致に)手を上げるべきだと思う」と強調。「名古屋駅から近いところは利便性が高い。世界中から人が来やすい」と述べた。
引用元:日本経済新聞
河村たかし市長も、カジノ誘致に積極的な姿勢を見せていることが、追い風となっています。
都市部だけに、十分な面積の確保ができないことがネックとなっています。
しかし、それに対して河村たかし市長は
ナガシマリゾート(三重県桑名市)周辺でIRを整備できないか三重県などに提案した
(中略)
東海地方随一の集客施設に新たな目玉を加え、地域全体を盛り上げたい
引用元:朝日新聞デジタル
と、隣県の三重とも協力していくことを示唆。三重県及び桑名市は慎重な姿勢を見せていますが、この動きは本気で地域を活性化させていきたいという、河村たかし市長の姿勢が表れています。
仮に名古屋がカジノ誘致に成功すれば、地域の巨大ビジネスとなることは間違いなし。人口の後押しもあって、巨大な経済効果が生まれることが期待されます。
夢洲(大阪)
夢洲は、大阪市此花区にある人工島です。新都心の開発を目指して建設されました。
夢洲は大阪市内にありますが、梅田などの中心地からはそれほどアクセスが良好というわけではありません。
大阪市民でも「夢洲には何があるの?」と言われるほど、何もない島だそうです。
そして、実際にほとんど何もなく、広大な空き地が広がっているというのが実情です。

元々夢洲は、大阪にオリンピックを招致し、そのための選手村予定地として建設されたという過去があります。しかし、オリンピックの招致には失敗。
結果、負の遺産のような形で存在してしまっています。
大阪市はこの状況を逆手に取り、広大な土地がある夢洲にカジノを誘致することを提案。
大都市圏において、これほど広大な土地が余っているということは稀であり、むしろカジノ誘致のチャンスであるとの見方もあります。
夢洲を投資対象として魅力に感じている事業者も多くいます。
米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックス、ギャラクシー・エンターテイメント・ジャパン、ゲンティン・シンガポールの3社が、それぞれ1兆円規模の投資規模を示した。
引用元:産経新聞
夢洲へのカジノ誘致は、これまでマイナスの見方をされてきたことを覆す絶好のチャンス。夢洲建設に付随して作られた夢舞大橋などの負の遺産も、有効活用でできるようになるかもしれません。
大阪IR・カジノ、夢洲の用地鑑定評価額の談合で500億円の値引きとは。
カジノ業者に優遇措置連発で引き留めようと躍起になっている大阪市。
優遇措置のオンパレードで、どこまで大阪市財産に負担をかけるのでしょうか…。https://t.co/3HOVU7O4l5— AKIRA (@daruma1953) September 30, 2022
同時に大阪のIR誘致への必死さが大阪市民の気持ちを置き去りにして真っ黒な方向へ向かっている状況になっているようです。
カジノの巨大な利権になんとしてもあり付きたい気持ちが全面に押し出されています。
マリーナシティ(和歌山)
マリーナシティは、和歌山県北西部の毛見沖に作られた人工島にあるリゾート施設。
毎年150万人を超える観光客が訪れ、リゾートホテルやテーマパーク、天然温泉などを楽しんでいます。

海外と関西を結ぶ拠点である関西国際空港からは、車で45分ほどの距離と、比較的アクセスは良好。
また、大阪や神戸、京都といった人口密集地とも近接しており、観光地としての魅力も含めて、大きな集客を誇ることが期待されています。
現在、マリーナシティのある人工島には、15ヘクタールにも及ぶ遊休地があるため、和歌山県としてはこの土地を積極的に活用したいと考えているようです。
行政の力の入れ具合は、他の候補地に比べてかなり熱が入っています。
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の「和歌山マリーナシティ」(和歌山市)での開業が認定された場合、県はIR業者が土地を公平に適正価格で取得できるよう、県がいったん買い取って同額で売却する方針を立てた。
土地の買い取り金額には、実に76億円を計上。土地の価格を予め決めておくことで、
- 業者によって購入条件が変わる可能性を防ぐ
- 行政が仲介することで、業者側の信用を確保する
といった効果が期待されます。
誘致決定に向け、ここまで具体的な動きを見せている場所はありません。
ハウステンボス(長崎)
九州地方で唯一、カジノ誘致を表明しているのがハウステンボスがある長崎県です。
ハウステンボスは長崎県佐世保市にあり、毎年国内外から多くの観光客が訪れています。

もし、カジノの候補地に決まった場合、ハウステンボスは30ヘクタールもの土地をカジノ事業者に売却することを表明しています。
30ヘクタールと言うと、東京ドームおよそ7個分くらいです。カジノを含むIRリゾートの開発には、十分な広さの土地と言えるでしょう。
ハウステンボスでのカジノ事業については、長崎市に本社があるカレントが出資を表明しています。
また、香港に拠点を置くオシドリインターナショナルも出資を表明。
CEOのケリー・ヤム氏が「多額の投資をする価値が長崎にはある」と述べ、4000億円程度の投資をする見通しがあることを語っています。
参考:長崎新聞
大都市からは離れ、国際空港からのアクセスも良好とは言えませんが、ハウステンボスという観光資源を活かした集客力で、地域に大きな経済効果をもたらすことが期待されます。